
今から、25年ほど前、まだ私が大学生であった頃、心理学の関係についての本を読んだり、講演に参加することが多い時機があった。当時影響を受けた本で今でも、私の人生に大きな影響を与えてくれたものに、ヘンリークラウド、ジョンタウンゼント博士のBoundaries(境界線)地引網出版という本があった。当時は日本語にはまだ、翻訳されておらず、講義の中で内容を教えて頂いた。人間関係において、オーナーシップの大切さを教えてくれたものであった。それ以来、人間関係やコミュニケーションについて学びたい時には、ヘンリークラウド、ジョンタウンゼントの本から深い洞察を得ることが多いのである。
先日、パートナーの力(Pan Rolling社 著者ヘンリークラウド)という本を読んだ。その本の中で人はどうすれば限界を超えることができるのかという話題が出て来る。この限界とは、人が直面している限界であり、脱却できないパターン、障害、リーダーシップのジレンマや壁、人との対立や弱点、問題点などが目の前に立ちふさがって、人々の人生さえ脅かそうとする何かが立ちはだかっている状態のことである。もう一つの限界とは、もっと良い状態を手に入れたい。もっと成長したい。もっと何かが欲しい。何かがしたいという漠然な望みであったり、自分の成果のレベルを引き上げたいのに、それを阻んでいる何かがあり、もっと先に行けるようになりたいと切望するが成し遂げられないような限界である。
そのような限界の中で、多くの本は自らの能力を高めることや、知識を吸収する事、克己心や忍耐力を養うことなど、自分に焦点を当てた解決法の提示が多いのであるが、このパートナーの力という本が提示しているのは、人の限界を超える力となりえるのは「他人の力
であると言うのだ。つまり他力本願を推奨しているのである。
自分を支えてくれた人々のおかげで、自分は勝つことができたというコメントをするスポーツ選手の話を聞くことがあるが、まさに、自分の限界を超える原動力となるのは、良い友人、良いパートナー、良い人生の仲間があなたの限界を超える手助けとなってくれたからだというのである。自分の成長を支えてくれる友人のフィードバックやアドバイスによって現状への視点が変わり、現状の解釈が変わって、新たな視点で挑戦していく原動力となることがある。 その結果、自分の限界を越えていくのである。そういう意味で、信頼できる仲間との関わり、絆は何よりも大きな限界を超える力、財産になりえるというのである。D