免疫力のあるキリストの体とは(2)

私たちの身体には普段から自然に免疫が働いており、外敵や内敵からの攻撃に対して、日々、撃退し続けているのです。また、私たちの身体には常時、多くの細菌がいて、免疫系はさまざまな菌と戦うことによって、防衛の演習を繰り返し行っているのです。ビフィズス菌などの善玉菌を体内に入れても有益であるのは、こうした理由からなのです。しかし、深刻な病気をもたらす病原菌やウイルスに対しては、日常のことではないため、時にワクチンや抗生物質が必要になったりします。教会も同じで、通常の日常茶飯事の問題であれば、問題を乗り越える力が自然と備わっており、キリストの体の免疫が自然と機能するように体を守ってくれています。しかし、致命傷を負わせるような大きな問題に対しては、何か別に手を施す必要が出て来たりするのです。
 
深刻な問題に対処するに際し、抗生物質のような薬物を体外から体内に取り入れてあげることで細菌を退治する方法があります。教会に当てはめてみると、カルトなどの問題が表面化した時には、特別にカルトの専門家や第三者委員を招いて、聖書的な教会運営を実践しているかどうかの査定を依頼したり、聖書から学び直すというやり方でもって、問題に対して撃退するという方法が取られたりします。しかし、コロナウイルスのように強い感染力があり、特効薬に対してでも、ウイルスを完全に撃退させることができずに、感染が体内においてさらに進んでどうしようもない状態になるというケースも起こりえるのです。教会もそれと同じで、外部からの講師を招いて、問題に対して啓蒙活動や現状の棚卸を行ったとしても、全く効果が期待できないどころか、コロナウイルスのように感染がさらに増え広がり、変異を繰り返しながら、問題がさらに深刻になっていくケースも起こりえるのです。
 
それでは、私たちの身体に本来備わっている免疫系が正常に機能しなくなる際、体内でどのような機構が働いているのか考えてみたいと思います。
まず初めに、外からの細菌やウイルスに対して、免疫が過剰に反応するとアレルギーになります。その反面、細菌やウイルスに対して免疫が充分に働かない場合は感染してしまうのです。問題は体内からも生じます。例えば、細胞分裂に際し、異常な細胞が生まれた場合、免疫が過剰に働くと異常な細胞と同時に健康な細胞までもが攻撃にさらされる事になります。そのため、自己免疫疾患を引き起こしてしまい、リューマチなどの問題が生じることになったりするのです。また、体内の問題に対して免疫が働かない場合は癌細胞となるのです。悪い細胞の繁殖を食い止める力がないためです。
 
キリストの体も同様で、時に外からとんでもない教えや人物、ゴシップが入り込んで来て、それに対して、異常を感知して適切な対応を取らなければ、キリストの体が健康状態を保持できなくなるのです。ある場合は、異物に対して過剰に反応し過ぎるとアレルギーを起こし、異物に似たものは過敏反応してしまい、問答無用に撃退しようとするケースが起こります。そのため、キリストの体は常時、外からの攻撃に備えて、ピリピリした緊張状態となるのです。それとは反対に、キリストの体の免疫機構が弱すぎると、外からの間違った教えや人物、ゴシップなどを真に受けて、その結果、感染してしまい教会が健全に機能しなくなり、コロナのように感染が拡大して、特別講師を招いても治まることなく、死に至るようなケースもあります。他方、キリストの体を苦しめる人物や間違った教え、ゴシップなどの問題は内側からも起こり得ます。それに対して、教会が過敏に反応すれば、無関係の人物までも退治しようとしたり、巻き込んでしまうことにもなります。ちょうど、リューマチのような症状になるのです。さらに、教会の免疫機構が弱くて内側の分派を食い止めることができなければ、結果として癌のように体内で細胞分裂を繰り返し、結果的にキリストの体を破壊してしまうことにもなるのです。そういう意味で、外側と内側からの敵に対してバランスの取れた適切な免疫機構の役割が重要になってくるのです。
 
ある教会では、教会が感染や癌から守られるように牧師やリーダーが目を光らせて、自分たちの意に沿わない意見や行いが浸透しないように場をコントロールしようとします。いわば、言論統制が行われるのです。一方、何でもありの教会は、聖書の教えよりもこの世の教えを取り入れることに柔軟であり過ぎるため、結果、骨抜きになり、リベラルでエキュメニカル的な組織に変貌したりします。つまりは、イエス様のいないラオデキヤの教会の似姿となってしまうのです。それでは、次回、免疫機構が備わった、打たれ強い教会についての記事を書きたいと思います。次回につづく。