あるクリスチャン男性の話 -続編②-

「異邦人の中にあって立派にふるまいなさい。そうすれば、彼らがあなたがたを悪人呼ばわりしていても、あなた方の立派な行いを目にして、神の訪れの日に神をあがめるようになります。」(1ペテロ2:12)

「たとえ義のために苦しむことがあっても、あなた方は幸いです。人々の脅かしを恐れたり、おびえたりしてはいけません。」(1ペテロ3:14)

この聖句の著者は、巌さんことペテロです。前回から、数回にわたり、ペテロのことを記してきましたが、上記の箇所から、「お前にだけは言われたくないわ」とツッコミを入れたくなる箇所です。ペテロは異邦人との交わりの中で、堂々としているかと思いきや、律法主義のユダヤ人に遭遇して、突然逃げ出したり、パウロにその事を叱責され、面目丸潰れの姿があったり、他人の圧力に恐れおののき、臆病風にふかれて自信喪失する姿があったり。そんな、彼の過去の姿から、「あなたにだけは、言われたくない!」と言い返したくなる言葉です。この、ペテロの古い弱腰の姿が、ガラテヤ人への手紙2章に記されております。このガラテヤ人への手紙がパウロによって執筆されたのが、AD48年頃、そして、その後、ペテロの手紙をぺテロが執筆したのが、AD65年頃だとすると、約17年くらいの歳月を経て、ペテロは大胆に、手紙を一人前に書けるまでに成長し、また、他のクリスチャンを励ます存在へと変えられ、弱い部分が回復し、キリストのアイデンティティが構築されていった事がこの箇所から分かるのです。

ぺテロの手紙の結び

「あらゆる恵に満ちた神、すなわち、あなた方をキリストにあって永遠の栄光の中に招き入れてくださった神ご自身が、あなた方をしばらくの苦しみの後で回復させ、堅く立たせ、強くし、不動の者としてくださいます。」(1ペテロ5:10)

このペテロの手紙の後半の結びの言葉から、苦しみの経験の後に、ペテロが強く、不動の者へと変革されていったこと、そして自分が神の恵みによって、変えられたビフォーアフターの姿を分かりやすい形で、言行一致を伴う形で証明する事で、他のクリスチャン達に、自分のように不動な者へと変えて下さる神の約束を手紙という形で、クリスチャンに伝えている事がこの結びの言葉から分かるのです。

神の恵みによって成長が可能であること、不動の者へと変えられることをペテロは自らを教科書として、宣言してくれているのです。本当に勇気付けられますよね。